重たく厚くなるエアコンと、そうしたいメーカーと、耐えられない壁のジレンマ(前編)
まず下の写真を見てほしい。
エアコン上部が壁から1センチ程度浮いているのがわかる。購入してから5年経つのだが、一年ほど前に、フィルターおそうじロボに溜まった埃を取り除こうとしてエアコンに近寄った時に初めてエアコンが傾いている事に気が付いた。その時は「ちょっと傾いているかな」くらいの僅かな傾きだったので気にも留めていなかったが、最近見てみると急に傾き度合いが大きくなっていた。
なぜこの様な事が起こるのだろうか。このエアコンが設置されている場所は14畳程度のリビングだが、空調能力に余裕を持たせて16畳用のエアコンを設置している。どの家にも言える事だが、リビングの間取りや室外に置く熱源機の事などを考えるとエアコンを設置出来ると考えられる場所は限られてくる。
マンション施工者は、エアコンが設置されそうだと思われる壁にはエアコンが設置できる様に壁内に下地を作って、壁がエアコンの重量に耐えられるようにしなければならないが、ここのマンションが建ったのはバブル崩壊直後の1993年で、今から22年。当然その時の施工者は、その時のエアコンを見て、それに耐えられるように壁を作る。そうすると、今のエアコンは当時の壁からしてみると重量オーバーになってしまう訳だ。
このエアコンが来る前はかなり古いエアコンが設置されていたが、薄くて平べったい富士通のエアコンで、残っていた取扱説明書を見てみると室内機の重量は7.5㎏。一方、今設置されている日立のエアコンは買った当時のフラッグシップモデルで、重量は13㎏!?なんと約二倍の重量だ。これだと壁が耐えきれずにエアコンが傾くのも分かる。
また、本体の厚みも大きくなっている。このエアコンは厚みが26センチ程度あるが、下の写真のモデルは家の機種の6年後のモデルに当たる最新機種で、その機種では厚みが37センチにもなっている。本体の厚みと重量は、現在進行形で増しているのだ。
なぜ室内機の厚みが大きくなっていくのだろうか。調べてみたところ、その理由は二つあった。
一つ目は「高性能化」で、
二つ目は「高機能化」だった。
高性能化について・・・ふとリビングのエアコンを買った時の事を思い出すと、販売店員が「こちらの機種はパムで省エネでハイパワーでステンレスで綺麗が続く」と言っていた。省エネ性能は、夏場の電気代が数千円安くなったらしくパワーも明らかに上がっているが、その為に本体が大きく重くなっているらしい。性能を上げる為には室内機内部にある熱交換器を大型化すればいいが、当時フラッグシップモデルだったリビングのエアコンは熱交換器部分が大きめに、そして重めに設計されている事がわかった。
高機能化について・・・最近のエアコンは、フィルターおそうじロボ(自動おそうじ)や、除菌イオン、人感センサー、大型風向版などを搭載して、それらの機能を入れ込む為に、本体が大型化しているらしい。
だが、気になった点が一つあった。家のリビングのエアコンと最新機種を比べると、本体の厚みは10センチも変化しているのに横幅と高さは殆ど変化していない。高性能化と高機能化を叶える為なら、厚さだけを大きくしないでも良いはずだ。横幅がワイドになればその分送風範囲が広がり部屋全体を空調しやすくなると思ったのだが、調べてみると、メーカーはそうしたくてもそうしたく無くなる理由がある事が分かってきた。
記事が余りにも長くなるので次の記事に後編を載せます。
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